本を売るための核となるのは、書店です。
年代別に書店現場の変遷を、お伝えしますね。
書店営業マン時のお話も交えます。
1990年代は、出版をすれば多くの本が売れた時代です。
個性の時代でもありました。
DCブランド、歌謡曲、洋楽全盛で、読者は何かを求めており、欲しい情報は本から得ていた時代だったです。
書店員さんには、いい気味で頑固おやじがいました。
仕入れた本は、可能な限り販売をしてくれたのです。
ですので、毎日が真剣勝負です。
ある時、事件がおきました。
書店員さんと約束とした本の手配が、できなかったかったのです。
受注をした本の在庫が、無なかったわけです。
当時は書店営業と出入庫管理をおこなっており、在庫は有ると思っていたのですが実は無かったのです。
慌てふためいのは、いうまでもありません。
書店員さんへ連絡をすると、「約束したよなぁ!キッチリ届けてくれ!」という返答です。
約束をした手前、何が何でも本を準備しないとなりません。
困り果て悩んでいましたが、活路が開けたのです。
それは・・・・・
取次(問屋)倉庫に本があり、事無きを得たのです。
義理と人情の出版業界です。
「やる」と言ったことに「筋」を通したのです。
筋といえば、サイン会をする時にも筋を通します。
サイン会をする近隣書店へ、挨拶に行くのです。
サイン会は100名の予約が集り、開催書店は返品がないためノリノリですが、近隣書店は面白くない訳です。
近隣書店へ手土産を持って、挨拶に行ったこともありました。
現在では、あまりおこなわれなくなったと思います。
さらにある書店で1,000冊以上、売れる本もありました。
今では、信じがたいのですが本当にあったのです。
気になる本は・・・・・
マニア向けの鉄道書です。
本に対して目利きができる書店員さんがおり、まさに職人でした。
最初500冊受注をして追加受注を繰り返し、1,000冊以上販売をしていただいたのです。
あと、良く書店員さんと飲みに行っていました。
アルバイトや社員が多くおり、閉店時間が早かったこともあります。
書店員さんから学ぶことは多く、熱く出版業界の未来を語りあっていたのです。
時には終電を逃し、映画館やカラオケ店で始発を待つこともありました。
1990年代は、書店員さんと固い結束ができ、本が売れて楽しい時代だったのです。
2000年代に入ると、まだ本は売れている時代でした。
パソコンの普及によりデータベースができ、データに基づく営業へ移行していったのです。
当時は、パソコンを出版する新興出版社に勤務しており毎日残業続きでしたが、勢いはありました。
ただノルマがきつく、売上を作るために強引な営業と接待を繰り返していたのです。
時には点滴後、仕事もしていたこともありました。
残業時間は200時間を超えていた時もあり、過酷な時代だったのです。
時は流れ、2010年代に突入します。
本が売れなくなり、書店や印刷会社の倒産が増えてきています。
さらに取次(問屋)までもが倒産し、出版社のM&Aや子会社化、グループ化など水面下で動きがあります。
出版業界は、右肩下がりの業界です。
ですが出版への憧れは強く、出版を目指す著者は増え続けています。
年間発行部数は、著者に呼応するかの如く増えていますからね。
良い傾向ですが、100万部以上を超える本が激減しています。
出版業界は、生き残りをかけた時代へ突入したのです。
同時に本の販促方法も、変わってきているのです。