販促方法は出版社により異なります
出版社により販促方法は、異なります。
毎月の発刊点数が多い出版社は、すべての本に万遍なく販促ができないのです。
それは・・・・・
仮に毎月50点の新刊がある場合、マンパワーにも関係しますが、すべての本に販促ができないのが、現状なのです。
そのため発売後、売れた本を重版して、販促をおこなっているのです。
新刊発売後に新聞広告を打ち、新刊の告知をして読者へ購入を促す場合もあります。
書店店頭の売れ行きを見て、販促をするのです。
大手出版社に多い販促方法です。
毎月の発刊点数が少ない出版社は、すべての本に販促をする傾向にあります。
たとえば新刊が毎月3点の場合、すべての本に販促をすることが可能です。
新聞広告を打つ機会が少ないため、営業マンが書店へ行き、受注をしているのです。
販促方法は、出版社の戦略により異なるのです。
50万部突破した本の事例を紹介します。
その本は・・・・・・
「プロ論。」という本です。
販促方法は、発売前に50冊以上配本する書店を首都圏に絞り、R25(フリーペーパー)に掲載依頼をしていたのです。
読者ターゲットを30歳以下に決め、R25への記事掲載が売れる鍵を握っていました。
記事掲載ですので確約はできなのですが、R25編集部へ足しげく通ったのです。
結果は・・・・・
運よく、掲載につながったのです。
この時は、「熱意が通じた」と感じています。
本は売れ出すと、重版を繰り返しました。
さらに王様のブランチで、1カ月くらい連続で主要書店でランキングインしている本として、紹介されたのです。
TVの波及効果は大きく、その後書店から注文が殺到して、全国へ拡散していったのです。
販促のポイントは、R25です。
R25の読者が、25歳前後のため本のターゲット層に、マッチしていたのです。
現在では、この販促方法が成功事例として活用できません。
R25の発刊が、無くなったからです。
販促方法に正解は、ありません。
何が売れるか分からないのが、出版の醍醐味です。
ですが、販促をしないと売れないのも事実です。
成功パターンは、どんどんストックされていきます。
当社では、販促事例が数多くあります。
出版社在籍時から現在に至るまで、成功事例と失敗事例が多くあります。
現在では100冊以上の販促やコンサルをおこない、事例が増えてきています。
事例をどんどん、お伝えしていきます。
販促を、よりイメージしていただきたいですからね。
出版社と書店の攻防
書店は本だけではなく、多種多様な商品を販売しています。
文具は、以前から販売しており、文具コーナーがある書店もあります。
文具に留まらず、カバン、お菓子、衣類、雑貨まで扱い、もはや書店は何でも販売しています。
なぜ、書店は本や雑誌以外の商品を、販売しているのでしょうか?
それは・・・・・
利幅が、大きいのです。
本を1冊販売した書店の利益は、定価の約20%です。
20%以上ある書店もありますが、多くは20%が大半です。
もはや本と雑誌のみを販売しているだけでは、書店経営は成り立たない傾向にあるのです。
ただ、利益が少ないのには訳があります。
本と雑誌は、返品ができるのです。
極端の話、書店はある本を100冊仕入て、100冊返品しても問題がないのです。
ですが、出版業界は不思議なところで、書店が出版社へ本を100冊発注をしても、100冊すべてが入荷する確約はないのです。
書店は本を10冊発注しても、1冊だけ入荷する場合や、品切として入荷しない時もあるのです。
理由は、在庫にあります。
仮に書店から500冊注文があり、出版社在庫が100冊の場合は、すべてのオーダーに応えることができないのです。
たとえば、村上春樹氏の新刊は多くの書店が、発注をします。
過去の作品を見ても、売れていますからね。
出版社としては、返品の少ない書店へ配本を多くします。
書店は、出版社に対して返品をせず買取条件を掲示して、入荷交渉をすることもあります。
中には、売れる見込みのある本を出版社へ、直接入荷交渉に行く書店もあるのです。
出版社と書店は、信頼関係から成り立っています。
信頼関係は、販売実績です。
実売数のデータは、出版社で掴んでいます。
出版社は、取引先書店の実売データを持っているため、類書が売れている店舗へ、配本をしているのです。
出版社としては100冊返品する書店へ配本するより、確実に販売をしていただける実績のある書店へ配本した方が、売れる可能性がありますからね。
出版社からすると売れないと、返品リスクを抱える訳ですので、慎重に配本をするのです。
売れる見込みのある本が欲しい書店と、返品の少ない書店へ配本をする出版社の攻防は、いつの時代も変わりません。
ただ、出版社と書店に共通していることは、返品がないことを前提に取引をしています。
なぜならば、返品は利益を生み出しませんからね。
出版業界の現状
出版の現状を知っておくだけでも、出版に対する意識は変わってきます。
出版業界の現状をお伝えしていきますね。
出版業界は大きく分けて、出版社、取次(問屋)、書店から成り立っています。
出版社は3,500社、取次26社、書店14,000店あります。
毎日200点以上の新刊ができ、年間80,000点以上が出版されています。
新刊は、出版社から取次を経由して書店へ配本され、陳列されます。
ただ、すべての新刊が書店へ陳列されるとは限りません。
たとえば、初版4,000部の本は14,000書店へ配本されることは物理的に不可能です。
そこで、出版社や取次は売れそうな書店へ配本をします。
配本の基準は、類書の売れ行きをデータを見ながら売れる書店へ配本をしているのです。
配本は、出版社が決まる場合と取次が決める場合とに分かれます。
配本の傾向として、多くの販売実績がある書店へ配本されています。
ビジネス書の場合は、首都圏で売れ出し地方へと波及していきます。
首都圏で売れ出し、重版分から地方へ配本され全国に拡散されて行くのです。
あと、出版業界の特徴として返品があります。
書店は売れない本を返品することができるのです。
返品は書店から取次を経由して出版社へ戻り、本を改装(カバー、本の汚れとる、帯を巻換えなど)して、受注に応じて書店へ出荷されていくのです。
そうなんです。
返品は再生して書店と出版社を行き来して、売れていくのです。
次は取次です。
出版業界の要です。
本を運ぶだけが、業務ではありません。
書店の売れ行きデータと返品データを持っています。
データにより、売れている本を書店へ提案をして、返品リスクを軽減しているのです。
ただ、データに頼りすきると書店で商品構成が似通ってしまいます。
商品構成こそが、書店員さんの腕の見せ所なのです。
データは参考程度にとどめ本来陳列すべき本や、考えて陳列して売れた本は、書店員の醍醐味なのです。
なぜ、このようなことが言えるのでしょうか?
実は出版社や書店を取引先として、現場に行き情報を得ているからです。
書店は、大型書店ほど売上が高いため取次からの配本や出版社営業マンの訪問により、新刊情報や他店舗からの情報を得られるメリットがあります。
中規模書店では、100~150坪書くらいでロードサイドに店舗を構えていた時期がありましたが、現在では500坪以上の大型店が駅前や駅ビルのテナントして入っています。
2010年以降書店事情も変わり、本だけでなく文具やカフェとの併合または、雑貨を品揃えした書店が増えてきています。
まさに時流です。
出版業界は雑誌6と書籍4の売上比率でしたが、現在では雑誌より書籍の売上が上回り、逆転現象が起きています。
出版全体の総売上は2015年現在で1兆4,000億円となり、年々右肩下がりになっています。
読者の得たい情報は、本だけはなく簡単にWebから得られる状況になったことが大きな原因のひとつです。
電車の中で本や雑誌を読んでいる方が、めっきり少なくなりましたからね。
ですが本を読む方とは反対に、出版をしたいという方は増えています。
出版点数だけは、年々増え続けていることからも分かります。
本を出版するにあたり、出版プロューサーや出版に向けてサポートしてくれる方が増えてきています。
最近では、著者やコンサルタントの方が出版講座を開講しています。
金額は30万円~300万円以上と幅が広く、個別対応や講座形式など様々です。
出版形態には自費出版といって著者がお金を出せば、本は出版できます。
商業出版(出版社が費用を持つ)と自費出版において、本を出版することに変わりはありません。
最後にひとつ言えることは、出版しても本を売らないといけません。
販促に関しては、別の機会にお伝えしますね。
実は、出版は簡単の様で奥が深いのです。